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Author:大海 奏
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桜人ノ住厶・花桜咲く頃

 ひらり、と。
 視界の端を何かが過ぎる。何気なくそちらを見やれば、桜の花弁[はなびら]が舞っていた。
「ーー気が早いな」
 ついこの前、咲いたと思ったのに。
 ぽつり、と呟いた言葉を、隣にいた女が拾ったらしい。何か言ったか? と聞き返された。
「もう花が散っている」
 つい、と舞う花弁を指して告げると、女は、得心した様子で頷く。
「あれは、最初に咲いたからな。…花の命は短いのだよ」
 そう言って、目の前の大木を見上げる女の横顔が。
 ……散る花と同じように、儚かったことを、よく憶えている。
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祭の宵に

Twitterに投げていたものを収納。
祭の宵に、良くある話。
追記からどうぞ。

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BlacK×SilveR -Another Buddy-

重苦しい雰囲気を放つ屋敷だった。
じわじわとのしかかってくる重さに、星蘭[せいらん]はふるりと身を震わせた。知らず、本を抱きしめている腕に力が入る。
「こんなになるまでよくまぁ、誰も気づかなかったもんだねぇ」
呆れたような声音が、星蘭の横から聞こえた。星蘭が碧色の瞳をそちらに向けると、相方が呆れた表情を浮かべている。
「ったく、ついさっき任務を終えた人間にこんな件回すなんて、協会長はホント、人使いが荒いよ」
アンタもそう思うだろ? と聞かれて、ううん、と言葉に詰まる。
「でも、人出不足だし。仕方ないんじゃないかな」
「…星蘭は真面目だね」
そう言って、相方ーー紅姫[こうき]は苦笑した。
「そうかな?」
「そうともさ」
 ま、協会長にあんまり使われないようにするんだよ。
紅姫はそう言って、笑った。それから、表情を改める。彼女の薄紅色の瞳が、強い力を宿した。
星蘭の背筋が自然と伸びる。
「さて、行こうか。星蘭、ふたりを呼んでおきな」
「うん」
頷いて、星蘭は腕に抱えていた本を開いた。
「おいで、朝火[あさひ]、白夜[はくや]」
地面に五芒星が現れる。次の瞬間、その中にふたつの人影が現れた。1人は赤い髪をした男性。もう1人は、群青色の長髪の女性。
「んん、何だよ、さっき仕事したばっかじゃんか」
もう呼び出し? と不満げに星蘭を振り向いたのは、朝火。その横で、白夜が眉を跳ね上げる。
「朝火、お前、またそんな口の聞きかたを! 星蘭様に失礼だろう!」
「えええー、だってさあ」
「だってじゃない!」
「いいよ、白夜」
「しかし、」
「うん、ありがとう。でも、今は時間ないから。朝火、仕事終わったら、ちゃんとメンテしてあげるから」
だから今は我慢してね。
その言葉に、朝火がはーい、と返事をする。白夜が物言いたげに彼を見たが、今度は何も言わなかった。
一連の様子を見ていた紅姫は、相変わらずだね、と苦笑した。
「待たせてごめんなさい、紅姫」
「いや。準備が整ったようだし、行こうか」
「うん。…朝火、白夜」
主の呼びかけに、ふたりの人形は頷く。そうして、目の前の扉を開けた。ぎいい、という古めかしい音が響く。
朝火と白夜に続いて、星蘭と紅姫と続く。重苦しい空気が、纏わりついてくる。殿の紅姫が屋敷に入った途端、ばたん! と扉が閉まった。 紅姫が扉を見やると同時に、部屋の明かりが点く。朝火と白夜、星蘭が身構える。
紅姫は、ふふん、と不敵に笑った。
「歓迎されてるね」
ざわりと、空気が震えた。明かりが明滅する。

ーーおおおおぉぉぉぉおおおお

次いで、地の底から響くような、うめき声。
星蘭は悲しげに眉を寄せ、紅姫は舌を打つ。
「紅姫、」
「ああ…。何度出合っても、気持ちの良いもんじゃあないね」
きっちり、送ってやらなきゃな。
紅姫が呟くと同時に、床からぬっと、影の腕が這い出てきた。その腕は、床に手をつくと、身体を引き上げる。
同じようにして、紅姫と星蘭の目の前に、10体ほどの影が姿を現した。
それらは、明確な形を持たないモノたち。不規則に形を変えながら、口のような穴から、うめき声を発している。

ーーおおおおぉぉおぉぉおおお

意味をなさないそれは、けれど、苦しげで、悲しいもの。
"闇"に取り込まれたヒトの、魂の叫びだ。
紅姫は目を細める。
「星蘭」
「うん」
「時間稼ぎ、任せたよ」
「うん。絶対に、紅姫には近づけさせないから」
だから。
「安心して、救ってあげてね」
哀れな、彼らを。
星蘭の願いに、紅姫は当たり前だろう、と返す。それに、ありがとう、と笑って。
生き人形師は己の人形たちに命じた。
「行って、朝火、白夜」
「はっ!」
「任せといて!」

ーーおおおおおおぉぉぉおおぉお

人形と影が、激しくぶつかりあった。




朗々とした歌声が響いている。
しっかりとした芯を持ちながら、包み込むような暖かさを伴ったそれは、囚われた魂を解き放つためのもの。
最後の魂が浄化されるのを見届けて、星蘭はほう、と息を吐いた。そうして、仕事を終えた朝火と白夜に声を掛ける。
「ご苦労様、朝火、白夜」
「いえ」
「メンテよろしく」
「朝火!」
白夜の叫びを最後に、ふたりの姿が消える。気づけば、何時の間にか歌声も止んでいた。
「終わったね」
「うん。紅姫、お疲れ様」
「ああ。星蘭もね。助かった。 やっぱりアンタとだと、集中出来るわ」
何気なく言われた言葉に、星蘭が目を瞬く。それから、照れたように笑った。
「ありがとう。嬉しいな」
「どういたしまして、ていうのも変な気がするけどね」
もう何年、あたしと組んでるんだい、と紅姫は笑う。対して星蘭は、ふと考え込んだ。
「んんと、5年かなあ」
「……ホントにアンタは真面目だね」
「そうかな?」
小首を傾げた星蘭に、紅姫はそうだよ、と肩を竦めてみせる。それから、帰ろうか、と星蘭を促した。
「さっさと帰らないと、また任務振られそうだ」
「流石に、協会長も考えてくれるんじゃ…」
苦笑する星蘭に、それはないね、とスッパリと言い切る。
「使える奴はとことん使え、がモットーの奴が遠慮なんてするもんかい」
さ、帰るよ。
紅姫が、星蘭に手を差し出す。その手に星蘭が手を重ねた。
次の瞬間、ふたりの姿がかき消える。
西日が、部屋を煌々と照らしていた。

End

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気まぐれあの子と。

 嫌よ嫌よも好きの内、という言葉がある。それを信じるのなら、“彼女”の連れない態度も当てはまるのではないだろうか。
 と、幼馴染に言ったら呆れた目で見られた気がするが、そんなものは気にしないことにする。そりゃ、俺だって“彼女”に嫌われてる自覚くらいある。
 撫でようとすれば逃げられるし、抱き上げようものなら全力で暴れられる。――だけどしょうがないじゃないか、好きなものは好きなんだし。
 そんなわけで今日もめげずに“彼女”にアタックする。・・・今日の土産を気に入ってくれると良いんだけど。

「ニャーッ」
「痛って!また引掻かれたー!」
「・・・お前、本当に懐かれないよなぁ」

題名の無い、

真っ白な楽譜を渡された。
…いや、真っ白、と言うのは語弊がある。五線譜と音符はきちんと描かれていたのだから。
でも、それだけ。

テンポが書かれていない。
否、それだけじゃない。
拍子も書かれていない。調も指定されていない。小節で分かれてすらいない。
書かれている音符も、ただの丸。よく形容される“おたまじゃくし”の頭の部分だけ。尻尾がない。音、ではある。一応。
弾こうと思えば弾ける。―――自由に。そう、自由に。

テンポも拍子も自由。
モデラートでもアレグロでもアンダンテでも。
長調にするのも短調にするのも。
四分の四拍子でも、八分の六拍子でも、二分の二拍子でも。
音符を四分音符にするのも十六分音符にするのも。

自由。

滑らかに弾きたかったらスラーを。
音を跳ねさせたいなら、スタッカートを。
弱く弾きたければピアノを。
強く弾きたければフォルテを。

書き込めばいい、この楽譜に。
そうして作り上げるのだ、自分の音楽を。

この楽譜に正当はない。

だからこそ。

私は弾けないのだと言ったら、あの人は笑うだろうか。

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