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向こうから来た気がする

トウザキさん、緑川さんとのお題交換企画。

お題*「向こうから来た気がする」

以前出てきた二人の再登場。



「あれ? っかしーな。向こうから来た気がすんだけど。道が無くなってんぞ。何でだ」
「・・・闇のせい」
「だよなぁ」
 何処か気の抜けた会話を交わしつつ、少女と青年は辺りを見回した。
 両側にそびえる、真っ黒な壁。それは複雑な回路を作り出し、二人を惑わせていた。
 立体迷宮、とでも言ったら良いのだろうか。
「うーん、気のせいだと思ってたけど、この迷宮はあれか。生きてんのか」
「・・・生きてるわけじゃない。闇が動かしてるだけ」
 淡々と言う少女に、例えだよ例え、と青年――Zは少女の頭に手を乗せた。少女が機嫌の良い猫のように目を細める。
 普通なら慌てるような場面であるのに、二人には緊張感というものが無かった。
「暫く様子見、といきたいとこだが、遅くなると怒られるしな。・・・壊すか」
 壊す、という単語に少女が反応して、Zを見上げた。
「あ、大丈夫大丈夫、お前の力は使わないから」
 その視線の意味に気づいて、Zは自分の目の前で手を振る。が、それを受けて少女の紫色の目が不機嫌な色を宿した。
「ルシエル?」
 首をかしげて少女の名を呼ぶ。そんな彼に向けてルシエルは一言。
「Zのばか」
「・・・何でそうなる?」
「私の力を使うところなのに、使わないZはばか」
「・・・あー。悪かったよ」
 要するに、気を使うな、ということか。ぽんぽんと宥めるようにルシエルの頭を叩いて、Zは苦笑した。
「じゃあ、頼む。この迷宮壊すだけで良いから」
「うん。分かってる」
 少女は頷くと、自分の直ぐ傍の壁に手をついた。
 目を閉じて、ひとつ息を吸う。そして。

「・・・壊れろ」

 再び目を開いたルシエルが静かに言葉を放った瞬間。
 ピシ、と言う音と共に、壁にヒビが走り。

 パリン

 ガラスが砕けるような音がして、迷宮が一瞬にして崩れ去った。
 
「力の使い方、上手くなったな」
 Zの感心したような声が、ただ広い草原に響いた。
 ルシエルは振り返ると、その瞳に少し得意げな色を宿した。
「ちゃんと、制御できるようになった」
「偉い偉い」
 ぐしゃぐしゃとルシエルの頭を撫でたZは、辺りを見回す。そして、自分たちの獲物を見つけて、つい、と目を細めた。ルシエルもその視線を追う。
 何も無い草原に、黒い球体が浮かんでいた。
 離れたところから見て、サッカーボールくらいの大きさがあったそれは、近づいてみるとかなり巨大だった。
 よくよく見れば、中央に黒い石のようなものが見える。周りを覆っているのは、石を守るためのシールドであるらしい。
「これ、原石か・・・。んー、でも周りに守り手がいないって事は試作品だなぁ、これも。ったく」
 まぁ、今回は人死にが出ないだけマシだったか。
 Zはそうぼやきながら、己の愛銃を呼び出した。
 少し離れてから、弾丸を放つ。シールドが砕け散り、中の石だけが落ちてきた。
 それをルシエルが受け止める。
「回収完了っと」
 ルシエルから石を受け取り、腰のポーチへと放り込んだ。
「何時になったら本物に辿り着くことやら」
 なぁ、とルシエルに同意を求めると、少女は首をかしげて、知らない、と答えた。
 Zが苦笑する。と。
 ピリリリリ・・・・
 何処からか、電子音が聞こえてきた。Zの眉間に皺がよる。音の出所は、彼のポケットの中からだった。
「嫌な予感」
 そう言いながら、彼が引っ張り出したのは携帯電話だった。通話ボタンを押して、耳に当てる。
「・・・どーも。・・・ええ、回収、終わりましたよ。今回は・・・。・・・え? はい?! このままですか? えええ、俺たちも一度戻り・・。・・・いえ、何でもありません。分かりました。・・・では」
 通話を終えると、Zがはぁ、と溜息を吐いた。ルシエルがきょとん、とZを見上げる。
「次の任務、だってさ。協会長も人遣いが荒いよなぁ。このまま行けってさ。・・・ルシーは戻るか?」
「ううん、行く」
 ルシエルが即答すると、Zはそうか、と一言。
「そんじゃま、行きますか」
 パチン。
 Zが指を鳴らすと、二人の姿が一瞬にして消える。
 
 草原に、涼やかな風が駆け抜けた。

End.


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