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大海 奏

Author:大海 奏
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ずっと

あげようと思って忘れてました←
高校時代に書いた作品載せます。
お時間ある方、追記よりどうぞ。





ざわざわ、風に花が揺れる。
「先生、何してるの?」
 少年は問う。
「花の手入れ」
 青年は、笑って答えた。

Boys, be ambitious…

「花の手入れ?」
 意外な答えに驚いたのか、少年は目を丸くした。小学校高学年くらいの男の子は、水色の清潔感のあるパジャマに身を包み、白のカーディガンを羽織っていた。
「おう。そんなに驚くことか?」
 答えるのは、白衣に身を包んだ男性。二十代後半くらいで、身長は180センチ近いだろうか、少年は完全に医師を見上げていた。
「驚くよ。だって先生全然、花とか興味なさそうなのに」
 少年の率直な感想に青年は苦笑した。
「そうかね。ところでお前は何をしてるんだ?」
 今気づいた、と言わんばかりの医師の問いに少年は少し呆れた顔をした。
「手術のための体力づくり。・・この間も言ったような気がするんだけど」
「お?そう・・あー、そういえば」
 ぽん、と手を叩く青年に少年は忘れないでよ、と半眼になる。青年は悪い悪い、と笑いながら少年の頭をグシャグシャとなでた。
「で、先生は何で花の手入れしてたの」
 少年は近くにあったベンチに座りながら、話を元に戻した。
 とある病院の中庭。初夏の日差しに誘われてか、ちらほらと患者や見舞い客の姿が見えた。
「特に理由は無いけどな。気が向いただけ」
青年も少年に倣ってベンチに座った。
 先程まで青年が手入れをしていた花は、時折吹く風に揺られていた。
「ふうん・・?あの花、何ていう花?」
 少年は納得したのかしていないのか良く分からない返事をしつつ、さらに質問を重ねる。気が向いただけ、と言うのだからきっと知らないのだろうな、と勝手に想像しながら。だが、少年の予想は外れ、青年からは明確な答えが返ってきた。
「葵の花だ」
「葵の花?」
「知らないか?」
「名前だけは聞いたことあるよ。初めて見た」
 少年は、風に揺れる花に目を向ける。まっすぐ太陽を目指して、伸びる茎。葉っぱはハート形。大きな花びらは一枚のようで、白い花を咲かせていた。
「綺麗な花だろう?」
「・・うん」
 確かに綺麗だ。
「こいつには大志、と言う花言葉が付いているんだ」
 青年はふと、思い出したように言う。
「大志?」
 少年は首をかしげる。
「大きな志ってことだ。合っているような気がしないか」
 まっすぐに伸びて、大きな花を咲かせる。
 少年はくきん、と首を傾げた。一つ疑問が。
「ねぇ、先生」
「ん?」
「志って、どういう意味?」
「あー・・」
 少年からの問いに、青年は少し考え込むそぶりを見せた。
「志っていうのはな、心に決めて目指していること、だ」
「心に決めて、目指していること・・。ふうん・・」
 心に決めて目指していること、と少年はもう一度呟く。じゃあ、と少年は青年を見た。
「先生の志って何?」
「俺の?」
「うん」
「何でまた」
「何となくは分かったけど、良くは分かんない」
 先生の聞いたら分かるかなぁ、と思って。
 そう続いた少年の言葉に、俺のが参考になるかねぇ、と青年は返す。
 「うーん・・そうだなぁ・・」
先程よりも難解な少年の問いに、少し長く考え込む青年。
志。心に決めて目指していること。
「・・・そうさな。一人でも多くの命を救えるようになること、かな」
「・・お医者さんらしい志だね」
「冷めた反応だなぁ」
 青年は苦笑する。少年は別に冷めてないよ、と反論した。
「一人でも多くの命を救えるようになること・・。先生の志は大きいんだね」
「そうか?」
「うん。だってさ、人の命を救うって大変なことでしょ?」
「それは、まぁな」
 少年の言葉に、青年は頷く。そうして、青年は、お前の志は?と何気なく問いかけた。
 少年は虚をつかれたような顔をする。
「僕の志?」
「そう」
 少年は、腕組みをしてうーん、と考え込む。眉間には皺が出来た。考えた結果は。
「・・思いつかない」
「おやまぁ」
「馬鹿にしてる?」
「滅相もない」
 おどけた様子で肩をすくめる青年に少年は、だって、と言い訳するように口を開いた。
「そんなこと考えたこと無かったよ。入院したり退院したり、忙しかったもん。早く病気を治そうって―――」
「なんだ、ちゃんと有るじゃないか」
 少年の言葉を遮って、青年が言った。少年はえ?と目を丸くする。
「有るって何が?」
「志が」
 青年は事も無げに答えた。少年はますます分からずに、
「・・・どんな?」
と思わず言ってしまった。青年は、笑った。
「病気を治すっていう、志さ」
「・・・それは志なの?」
「お前が心に決めて目指しているなら」
 いまいち要領を得ない答えに少年は戸惑う。そんな彼に青年は言う。
「お前の場合はそれが当たり前すぎて気づいていなかったんだろうけど。それは立派な志だよ。病気を治す上での、だけどな」
「大きくはない?」
「まさか。――そもそも、大きな志って言うのは何を基準にして、大きいのかはっきりしていないからな。俺のだって、お前からしたら大きいと感じるかもしれないが、同じ医者だったら当たり前のことで、小さいと思うかもしれない。大きさなんてそんなもんさ」
 ぐっと、伸びをして青年は続ける。
「病気を治そう、これは俺は患者が頑張ろうとしている証拠の志だと考える。だから、俺は大きいと思う。医者は病気を治す手助けは出来ても、戦える訳じゃないから、なおさらな」
「頑張ろうとしている証拠・・」
 「おう。だからこそ、俺は助けたいと思うんだ」
 そういうと、青年は少年の頭をクシャリと撫でた。
「お前のも大きな志、だよ」
「・・・そうかな」
「納得できないか」
「うーん・・」
 そうかもしれない、と少年は思う。今まで自分が思ってきたことが、大きな志だと言われたことは嬉しい。でも、青年の言うとおり、少年にとってそれは当たり前のことで、今更そういわれてもあまり実感がない。
 青年は、そんな少年の考えを読んだのか、ふっと笑って言う。
「じゃあ、これから探せばいいさ」
「・・!そっか。そうだね」
 少年は、青年の言葉に嬉しそうに笑った。
「少年よ、大志を抱け、って言葉もあるからな。これからゆっくり、自分が目指す志を探せ」
 そう言うと青年は立ち上がり、少年を促す。
「そろそろ戻れ。あまり長く外にいるのは良くない」
「はーい」
 少年はひょい、と立ち上がると素直に青年の言葉に従う。そこで、そうだ、と青年を見上げた。
「先生、僕は元気になる、っていうのをまずは志にしてみようと思うんだ」
「・・そうか」
「それから、探すよ」
 いつか自分が誇れる大志を。

 葵の花が頑張れ、と言うように風に揺れた。



End・・・
















高校時代最後に書いた作品。
葵の花言葉で書きました。
色々と突込みどころはあるけどきにしない←

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